2017年12月12日

ある一コマ。

アトリエから見える目白の森が、美しい紅葉から
カサカサと音を立てるような乾いた景色に変わりつつあります。
季節の変化と同じように身のまわりも静かに変わっていくのが
人生の常です。大袈裟な言い回しでしょうか。
出会いや別れや再会。人の一生にはそれらがいつも相棒のように
優しく微笑みながら寄り添っています。
ものづくりをする私は、「もの」を通して、そんな人生の哲学を
味わった2017年の秋でした。
10月終わりの頃、実家の近所に住む90代の女性が独りで暮らし続けた
家を売り、子供と暮らすことを決めました。
その女性は長くその家で、仕立屋としてばりばりと働いたそうです。
一時は海外にも顧客を抱え、大変忙しい日々を送ったそうです。
しかしこの度、家を売ることになり、洋裁の道具の行き場に困っていると
別の方から連絡を頂きました。何か使わせていただけるようなものが
あればと、お家にお邪魔をすることになりました。
引越しの準備の中、ひっくり返る生地の山や道具を見てまわり
いくつか譲りうけてきました。
かつての栄華を道具達から感じて、人生の儚さを知りました。

11月、突発的で想定外の出来事に見舞われました。
奇しくも洋服の山と対峙する羽目となり、衣服というものの
真髄とはなんぞやと立ち止まらずにはいられないことになり、
人生の矛盾と虚無感を学びました。

12月9日、おおよそ20年ぶりとなる友人が遠く離れた場所から
はるばる東京へ弾丸旅でやってきました。古い友人達を集めて
昔話に花を咲かせて懐かしく楽しい気持ちでいっぱいになりつつも
仕事のこと。家族のこと。「もの」ではないけれど、人生を形成する事柄に
ついてもたくさん話しました。
各々全く別のストーリーを描いた人生のページを刻んでいるんだなあと
日々を生きる大切さをしみじみ実感。

12月12日、今日。
萬LINKが来年、アシストしたいと考えているブランドと打ち合わせ。
人生の大先輩でもあるデザイナーさんからは「もの」への
熱い想いをいつも聞かせてもらいます。
人から人へものが伝わる時、その「もの」は静かな情熱の塊となって
人へと届きます。それは人生観も変えてしまうこともあるのでしょう。
そんな「もの」の力を改めて感じて、人が一生を送る時、
「もの」は切っても切り離せないのだろうと思えて、
来年も、一期一会の出会いと共に、ものづくりの端くれでいたいものだと
目白通りを自転車で駆け抜けながら誓うのでした。

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posted by フリッカの友 at 16:53| Comment(2) | 日記
この記事へのコメント
舞ちゃん

素敵な女性らしい優しさに溢れたブログですね花束光るハート
Posted by 住野櫻子 at 2017年12月13日 06:21
アコさん、メッセージ有難うございます!
ブログは、時々の更新ですが、気ままに
綴っていますので、また読んでやって下さい。
Posted by まい at 2017年12月13日 09:51
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